日  時 平成18年6月23日
研修のテーマ 「子どもが育つとは}
●午前(現場研修「ばあちゃんち」)
 子育て支援に地域特性・人材を巻き込んでを取り組んでいる事例
●午後(ワークショップ)
 ワークショップの進め方の講義「子どもが育つ上で大事なこと
・事例への感想の出し合い ・問題意識の整理、しぼりこみ
・解決のアイデア出し ・具体化のための段どり
研修のポイント 目標の共有
・子どもが育つとはどういうことか。
・親子を取り巻く世の中・時代状況。
・子育ち総合支援士のアプローチは。
第1回 地域子育て支援コーディネーター研修会速報

 梅雨らしく雨が降る中、「第1回 地域子育て支援コーディネーター研修会」は植木町役場近くの「植木町 かがやき館」を主たる会場として開催されました。
 9時30分を少し過ぎた頃、榊田会長から開催における思いを語っていただくところから本研修会がスタートいたしました。続いて地元自治体を代表して植木町福祉課課長様にもご挨拶を頂いた事でした。
 事務局の小岱先生より「本年は是が非でも結果を出さなければならない」として、今年一年間の4回にわたる研修会の趣旨の説明があった後、本研修会のワークショップ・コーチ役の佐伯謙介さんに司会のバトンが渡りました。

 午前中実地研修の「ばあちゃんち」に行く前に、カードを使った自己紹介を各グループに分かれて行いました。これは単なる自己紹介にとどまらず、本研修会に来た「意図と目的」を明確に伝え合う非常に建設的なものでありました。
 移動先の「ばあちゃんち」では一見和気藹々と「ばあちゃんちの常連さん」と楽しそうに、いやむしろ積極的に情報交流をする研修者の姿がありました。実は「ばあちゃんち」に行く前に佐伯コーチより一つの宿題が各グループに課せられていました。
それは「ばあちゃんちとは何か?をレポートしなさい」という趣旨のものでした。しかもそれはレポートに留まらず、各グループでデジカメにとって新聞風に報告しなさい、という内容でした。それ故か何かはわかりませんが、情報交流は非常に活発に行われ、「地域子育て支援コーディネーター養成として成功例に学ぶ」という趣旨に合致した、研修者らしい姿でした。
 我々研修者を暖かく迎えてくれた現地スタッフを代表して、山東子育て支援委員会(かちゃりばんこ)メンバーでもあり、植木町ファミリーサポート・アドバイザーでもある島田 真由美さんにお話を伺いました。
以前から山東保育園村上園長とPTA活動等で一緒だったという島田さんは平成13年ごろから本格的に村上園長の誘いにより『地域子育て支援活動』に本腰を入れてこられました。当初感じていた事は『「子育て支援」という事すら周囲には認識されなかった概念だった』、という事でした。それを山東保育園子育て支援センターの活動や、独自のグループでの活動等複合的に協同するようになり、ようやく『子育て支援をしてくれるグループがいるらしいばい』と(地域が)認識してくれるようになってきた、と話されました。
 「島田さんにとって『子育て支援』とは何ですか?」と尋ねると、「お母さんが元気になって楽しく子育てが出来る事」と自身の体験談も交えながら楽しく答えて下さいました。
 研修者の中の感想として
「参加する全ての人が自由意志で行動している」
「共に作る、作業するという中で多くの人と知り合える」
「地域の人の協力がある」
「実家に帰ってきたような安らぎがある」
「自然の中で培われる食育の原点を感じた」
「昔の人の知恵を教えてもう事が出来る場」
「自分の仕事以外の子育て支援がここにあった」   等がありました。

昼食はその日に現地スタッフが主に作られたご飯、味噌汁、ばあちゃんちの畑で採れた野菜で作ったおかずを頂いきました。雨が降る田んぼと畑に囲まれた、私の知っている昭和の原風景と呼べる環境の中で昼の一時を過ごしました。とても雰囲気があり、情緒溢れる空間でした。

休憩は約1時間ほどありましたが、佐伯コーチから受けたミッションが研修者にはありました。昼食もそこそこに「かがやき館」に戻り、早速課題に取り掛かっていました。
さて1時間後・・・。出来上がったみんなのイメージするばあちゃんちとは?
タイトル!『地域の中の実家』『実家に帰ろう』『ばあちゃんを囲む素敵な仲間達』等が上がり、何故そのようにイメージしたかの理由等について、グループ内で出た理由を挙げていかれました。

いよいよ本題のワークショップ「子どもが育つ為に大事な事」というテーマで各グループが話あっていきました。
とにかく自分の思っている事、感じている事を素直に表現し、共鳴する意見同士を仕分けると言う作業を繰り返し、更にそこからもっと内容を深めていく・・・と。
1班・・・「愛情を持って支えあう環境の中で子どもは育つ」として「地域の中で支えあう」が『(子どもが)育つ為に大事な事』の柱ではないか、となりました。
2班・・・「食べて・遊んで・ふれあって 地域の中の居場所作り」として「地域の中で居場所作り」
3班・・・「栄養のバランスの取れた食事」となり「食事」
4班・・・「子どもが愛されていると実感できる家庭」として「子どもが愛されていると実感できる時」
以上がグループで検討された「子どもが育つ為に大事な事」でした。

最後に尚絅短期大学教授の浜崎先生より所感と総括をいただきました。 
「ばあちゃんち」は何度いっても印象深いところ。
少しおばあさんと話した。おばあさんは子どもさん3人いたけどほとんど子育てはしていないと言う。しなかったわけではない。しかし、仕事があった。昼の仕事が終わっても土間で仕事をしていた。早朝から夜十一時まで仕事。ほとんどそれは労働者の姿だった。実際問題おんぶも抱っこもたくさんする事は出来なかっただろう。ほとんど仕事一色の若い頃だったのではないか。
 つまりかつての実態は今と余り変わらなかったのではないだろうか。そして周囲の状況もそうだったのだろう(みんな貧乏)。
 以前は子どもが自ら育つ空間があった。そしてそれが長い時代続いていた。
 現在は家庭が孤立している。私(母)が家の子「だけ」を育てる、という状況にある。親子はセットで閉じられた空間の中で過ごし、女性はずーっと母親を演じなければならなくなる。人間が人間である以上、母親であり続ける(演じ続ける)事はとても難しい。現代では、そうではない時間を作ってやる必要があるのではないか。人間としての道(女であり、妻であり、母である)が必要ではないか。
母親だけの側面を押さえていくならば地域子育て支援には無理があるのではないか。(家庭の愛情・母親の愛情という大義名分を)押し付けていく事になりはしないか。
地域子育て支援コーディネーターは保育士の枠をはるかに超えている。そしてそれは必ずしも重ならない部分(子どもと向き合えない姿・子どもをつい叩いてしまう姿等)があるのだ。むしろその部分を大事にし、認めなければならないのではないか。
親以外の部分を大事にし、認めることが出来るようになるのか?そこがコーディネーターは問われているのではないか。
「私は」何が出来るのか?という「私」の部分が大事になってくる。次回以降楽しみにしている。

以上を最後に本研修会は閉会となりました。
最後に、本会が有意義な会であったかどうかは、まさしく本研修者の今後の実践・活動であり、「私」自身がその答えを出さなければならないのだ、と思いました。
(以上文責、子育てネット運営委員 橘 孝昭)

 
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