令和3年度の本会事業計画のコンセプトを提案する為に、まず以下の3点に絞って整理をしてみた。
1、子育て支援から見る「これからの未来」 2、全国と比して熊本子育てネットの現在地
3、熊本子育てネットの手持ちの「カード」とは
まずは「少子化」の問題。2021年の出生数予想は80万人を割り込むのは必至とされている。日本における少子化のスピードは政府予想よりも数段早く、100万人から20万人減るのに6年間(その前の10万人減は11年間)しか掛かっていない事になる。
当然熊本県内においても各地で同様の傾向を示しているものと思われる。そして心配なのは様々な理由により地域格差が広がっている点ではないだろうか。
熊本は子育てネットの立ち上げが早く、その影響か保育園主体のセンターが主流となっている。しかし全国ではNPO関係の子育てセンター・ひろばが主流となり、施設においても保育園併設型に拘らない、あらゆる施設や利便性ある場所を使っての子育て支援を行っており、もはや保育所併設型は非主流派となっているとの報告を聞く。
また都市部においては多機能化(一時預かり、利用者支援・・・)や大規模化した子育て支援拠点もあり、現在の熊本における子育て支援の現状は、全国的な傾向から見ると、従前の「特別保育事業の枠で収まっている」ということはないだろうか。
この件について本誌「熊本県・市の子育て支援に関する一考察」(本会副会長・村上千幸運営委員)で詳細に報告されているので是非ご参照を頂きたい。
子育てネットは20年以上の歴史があり、全国でも早い段階で組織を作り、子育て支援センターとして初の全国大会(セミナー)を開催する実績を作った。それもこれも、試行錯誤を繰り返すだけの柔軟な思考があったと言えないか。それは『保育を基本』としながらも、保育に限らない多種多様な分野の講師を招聘して、そこから子育てについての多角的な学びを深める研修という手法が象徴的だった。
また、時には激論を交わすこともあった。それをもう少し掘り下げて考えるならば、それだけ各センターでのそれぞれの試行錯誤が「各園の保育を基本」としてあったからに他ならない。それがネットに方向性を提案する様な「言葉」になって、これまでの研修や全国セミナーが深まってきたと言える。
だとすれば、ネットの手持ちの「カード」とは「各園の保育」が中核となり、更にそれを拡げて保育分野に限らない「多種多様な分野からの柔軟な学び」だったと整理したい。
これらの事を一度整理した上で、改めてこれからの本会の方向性について考えると、従来通り従事者の為の研修機会の確保と、併せて会員園との意見交換。これからの子育て拠点におけるロールモデルの発掘及び情報提供。これらを柱として令和3年度事業計画を提案したい。
(文責:橘孝昭)