令和2年度 報告

オンライン特別研修会 – Part1 -

【開催趣旨】

新型コロナウイルス感染拡大防止の為に、保育関係各種研修会・大会が延期または中止になる中、熊本子育てネットも例外ではありませんでした。しかし、このコロナ禍の影響により「3密を避ける」という言葉(指針)が与える影響というものは、子ども達の成長を妨げるものです。すぐに収束に向かう事が考えにくい状況の下、どの様に見通しを持ち考えていくのか。子どもを取り巻く問題の課題は待ったなしと考え、今年度も研修を企画しました。

【講師】

 山 田 眞理子 氏
(子どもと保育研究所 ぷろほ所長、九州大谷短期大学 名誉教授)

【テーマ・日時・参加人数】

・「コロナ禍の子どもたち・保護者の現状と課題」
- 啓発者、支援者に求められていること -
・特別講演「保育園におけるCOVID-19対応について」
講師 岡 田  健 一 氏 (九州大谷短期大学 准教授)
令和2年10月20日(火) 13時30分 ~ 15時   【16園・61名】

【オンライン特別研修会レポート】

コロナ禍で突然奪われた日常。世界中で何が起きているのかと不安な日々が続き、制限されることも多くある中、新しい生活の仕方というものも見えてきたと思います。子どもの健康な育ちに、人と人の密な関係は大切だと思いますので、あれダメ、これダメ、3密ダメではなく、正確な情報の感染予防を意識したいです。

病気でもない、元気なのに学校へ行かなくてもいいという事実に出会ったとの話がありました。研修前、身近で起きている話を聞いたばかりだったので置き換えて聞いてしまいました。熱心な塾通い、一生懸命勉強し希望の学校へ合格したはずなのに、不登校、ゲーム生活で昼夜逆転、コロナだけが原因ではないかもしれませんが、コロナの影響もあるのかもしれないと思うと、色々考えさせられるものがありました。小さい子どもたちだけでなく年齢問わず、そうした子どもたちに対しての関わりの難しさも感じました。

いつ誰がなってもおかしくない環境で、万が一自分が、家族が、園で、を考えた時、あらゆる方向からの事前準備が大事だということを学びました。コロナがあって、園行事のやり方など工夫できるもの、発見もありました。今後を見直すきっかけにもなったと思います。山田先生、岡田先生、ありがとうございました。
(八代市子育て支援センター)


オンライン特別研修会 –Part2-

◎スキルアップセミナーオンライン連続研修会

【開催趣旨】

毎年、子育て支援センターの現場で求められる資質の向上を目的にスキルアップセミナーを行ってきました。近年は熊本県の指定を受け、「保育士等キャリアアップ研修」としても行ってきました。子育て支援の現場でも求められる資質として、「乳児保育・障がい児保育」分野があり、特に子どもの発達を理解する能力技術を常にスキルアップすることを目的に、この研修の機会を大切にして参りました。

今、コロナ禍での生活環境も大きく変化した中、保育士として子どもの成長を見守る力や技術を学ぶ場を絶やさず、例年通り保育の質の向上を大切に考え行いました。

【講師】

 山 田 眞理子 氏
(子どもと保育研究所 ぷろほ所長、九州大谷短期大学 名誉教授)

【テーマ・日時・参加人数】

・「子どもの発達をとらえる」 
- 保育者の視点で、子どもの立場で -
- グレーゾーンの子どもの発達検査 -
第1回 令和2年12月14日(月) 10時 ~ 15時 【16園・23名】
第2回 令和3年 1月19日(火) 13時 ~ 15時 【17園・33名】

【第1回目受講後の研修レポート】

今回の研修を受けて、発達検査は専門の先生が行うものだと思っていたがそうではなく、そして保育士が発達検査を知らないままでいいのではなく、日常を知っている私たち保育者が行うことで正確に判断でき、検査結果を活かしその子どもの良さや糸口を見つけるためのものであること、明日からの保育を変えるためであるということが分かりました。

また、1つの発達検査で分かることではなく、複数の検査をしていくことで、その子どもの発達年齢や困っていることが分かり私たちの保育の目安になり、子どもの毎日の幸せのためにその子に合った環境や声かけを工夫していくことが大切だと感じました。発達検査の方法は、遠城寺式乳児発達検査は知っていたが、他の方法は初めて知りました。今、担任しているクラスに気になる子どもが居るので、今回学んだ発達検査方法を行い、発達年齢や苦手な部分などを把握し、その子どもが保育園生活を楽しんで送ることができるよう、環境設定や声かけなど保育を考えていこうと思います。

発達のレポートでは、児童要録など自分の思いを書いてしまっている部分があったので、そうではなく検査を元に書くことによって第三者にも分かるようにすることが大切であり、子どもの支援がしやすくなるということを学ぶことができました。

事例では、言い訳が多いということを書いていたが、なぜそうなのか考えた時に信頼できない人にはそうなってしまうということに気づき、その子は何かしらのサインを送っていたのにそのサインに気づかず、保育を行っていたということを反省しました。「この子には安心できないものを持っているかもしれない、安心できる自分の居場所がみつけられないまま過ごしている」という先生の言葉を聞いて、この子が保育園・今のクラスを安心できる自分の居場所にできるようサポートして行きたいと思います。 

また、この子だけでなく、クラスで声かけだけではなかなか行動に移すことができない子どもには、絵で示したり、手順書を使って流れを把握しやすくしたり、周りのことが気になってします子どもには、周りが気にならないようつい立をし気を引く物を遮断するなど、子どもが困っていることに気づき、困りを解決できるよう保育をしていかなければならないなと感じました。

私は今5歳児の担任と、自閉症スペクトラムの子を担当しており、時々パニックになってしまうので、その時にはクールダウンができるようにしていたが、パニックが治まったことを共に喜ぶということはしていなかったので、これからは行っていき自己否定をうえつけないようにしたい。そしてクラスでは、就学に向けて生活習慣など困らないようにしなければという思いで子どもたちに厳しくなっていたところがあり、それは子どもにとってはとても負担になっていたと思います。子どもができないのには理由があり、できるようになるにはどうしたら良いのかを担任は考え、保育の工夫を行うことが大切だと改めて感じました。

残り3ヶ月、子どもたちが毎日楽しく保育園が自分の居場所であると思えるよう、子どもたちの気持ちに寄り添いながら日々保育していきたいと思います。

(子育て集いの広場 緑川)

【第2回目受講後の研修レポート】

今回初めて研修会に参加させていただきました。ありがとうございました。

発達検査について、子どもの日常を知っている保育士が発達検査を行って保育に生かすことや子どもの良さや糸口を見つけるものだということ。そして、○○については~はできるが~はできないので○才○ヵ月の発達と思われるという正確にわかりやすく伝えることが大切だということがすごく勉強になりました。クラスにも注意欠如や多動衝動性の子どももいるのでマークを使って伝えてみたり、衝動性が出やすいタイミングなどを観察して子どもが落ち着ける環境を作っていきたいです。

今回私は事例として自傷行為をすることやトイレを極度に嫌がることをあげていたのですが、アドバイスを受け保育の中で自傷行為が出る前に“○○がいやだったね”“こういう時は○○といったらいいよ”“悔しかったね!”と子どもの気持ちを受け止め代弁し、そこからどういう風に相手に伝えていったらいいのか1つ1つを一緒に向き合って考えるようにしています。イライラを他の物にぶつけられるよう新聞紙破りをしたり、新聞紙で作った大きい段ボールに体当たりできるように作りクラスに置いています。今は自傷行為をすることもほとんどなくなり、自分から気持ちを言葉にして伝えてくれることが少しずつ増えてきています。改めて自分自身が子どもの辛い気持ちと向き合うことができていなかったことを実感し反省しました。まだ癇癪を起したりすることはあるのですが、少しずつ落ち着いてきているのでこれからも向き合っていきたいです。

トイレについては、腹巻などお腹が包まれるものがあると安心するとアドバイスをいただいたので、排尿するときにお腹にタオルや洋服が当たるようにしてあげることで、少しずつトイレを嫌がらなくなり、同時に排尿に自信もついてきたようで、今は自分から1人でトイレにいってくれるようになりました。
他の事例についてもクラスの子と似ている子どもの事例もあったので、参考にしていきたいと思います。ありがとうございました。

(玉名市子育てネットワーク)

【総 括】

令和2年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止の為に、保育関係各種研修会・大会が次々と延期または中止となりました。

そのような中、10月に第1回オンライン特別研修を行うにあたり、山田眞理子先生のお力添えにより「コロナ禍での子どもと保育」と題し、タイムリーなオンライン研修会を行うことができました。

感染拡大を防止する為「3密を避ける」という、子どもを育てていく上で必要な関わりまで防止対策にされていく社会現象をどう考えるか。研修があちこちで中止となる中、熊本子育てネット初のオンライン研修会は、保育所・子育て支援センターに正しい方向性を与えてくださいました。
その後も、スキルアップ・キャリアップ研修に替わり、コロナ禍だからこそ必要な子どもの育ちについての連続研修も行いました。オンラインでの発達検査のノウハウを学び、各自の事例検討会も行うことができ、とても実のある研修となりました。

第1回目にリモートで参加してくださった、岡田健一先生(九州大谷短期大学)の新型コロナ感染症が保育園等で発生した場合の対応編として、「COVID-19対応のてびき」をいち早くご紹介くださり、子どもと保育研究所ぷろほから冊子となり、熊本子育てネット全会員にお配りすることもできました。

そして、子どもと保育研究所ぷろほとの共催事業として「乳幼児メディアアドバイザー熊本講座」をオンライン講座としても行いました。
オンラインにすることで、県内6名、山口、広島、神奈川、群馬、東京、山梨、埼玉、福島、宮城、新潟、長崎、大分、福岡からの21名の参加がありました。全国各地でもメディアの問題は同じように思いました。

熊本子育てネットでの初めてのオンライン研修は、とても充実した中身の濃い研修を行うことができました。山田眞理子先生のご尽力の賜物であります。コロナ禍の不安な中での保育に、いつもと変わりない保育のあり方を示唆してくださいましたことに、参加者一同、心から感謝申し上げます。

(文責:宇佐美 純代)