総   括

 

 令和元年度当協議会では、「カウンセリング研修」「スキルアップ研修」「子育てコーディネーター養成講座」の3つを研修事業の柱としてシリーズで行い、それぞれが充実した講師陣による質の高い研修になったこと。そして、「保護者支援・子育て支援」「乳児保育」「障がい児保育」「マネジメント」の4分野に該当する「保育士等キャリアアップ研修」になったことは、各加盟園にとって大きな役割を果たせたのではないだろうか。しかし、どの研修も例年より参加者が集まらない結果となった。保育界並びに全業種に及ぶ「人手不足」など様々な要因が考えられるが、加盟園の状況やニーズにもっと目を向ける必要性を感じた。

当協議会としても、この制度に振り回されていなかっただろうかと振り返る。本来の目的である子育て支援センターや職員の資質向上から離れてはいなかっただろうか。時代の変革とともに、今、そしてこれからの支援センターに求められる役割とは何かと、改めて考える転換点にきているのではないだろうか。

転換点と言えば、「カウンセリング研修」の講師として20年以上講義をしていただいた杉田峰康先生がこの度退かれることとなった。杉田先生には受講者の心に響き、人生観を見つめ直す研修を毎年実施していただいた。このことは各支援センターで利用者を受容し、他者理解を深め、人間関係を構築するのに繋がり、各センターへの貢献は計り知れないものである。杉田先生には長年の尽力に心からの感謝を申し上げたい。そしてこれからも杉田先生の志を受け継いだ事業を実施していきたい。

本年度、特別セミナーとして「虐待防止」の研修を実施した。昨今、目をそむけたくなるような事例が多く報告され、「早期発見」「早期介入」を行い「子どもを被害者にしない」ことが社会課題となっている。一方で「親を加害者にしない」という視点、つまり親の不安や負担感に親身に寄り添い、親子を包括的に支援していくことも重要であり、そこに支援センターが果たせる役割は大きいのではないだろうか。子育て支援者がこうした意識の元、親子にかかわることが、潜在的な虐待の芽を摘み取り、健やかな親子の育ちに繋がることを自覚する機会となった。

また、近年途絶えがちになっていた、子育て支援実務者同士の交流及び情報交換を施設見学も兼ねて行うことができ、参加者にとても好評で意義深いものとなった。

本年度、これまでの3つのキャリアアップ研修とともに、いくつかの特別事業を行い会員の資質向上に貢献できたと考えるが、同時に支援センターに向けられた課題、これから果たすべき役割についても向き合う年となったのではないか。少子化が進む中、いかに親子の健やかな育ちを支えるのか、生まれてくる子どもたちを地域や社会の中でいかに育んでいくのか、次年度の課題として引き継いでいきたい。 

(文責:田中 晋輔)