総  括

1995年に始まった地域子育て支援センター事業も20年を経過した。その間、2002年には、つどいの広場が創設、2007年には、地域子育て拠点事業が創設された。翌年には法定化され、保育所と同様の第二種社会福祉事業として位置づけられることになった。政策的には、拠点事業が保育所とは異なる独自の事業であることが強調された。創設以来、保育所の一事業として捉えられていた地域子育て支援センター事業が、機能としては、より近接している集いの広場事業と一つの事業として再編された。

大きい流れとしては、三党合意で子ども・子育て三法が成立し、子ども・子育て支援新制度に向けて、社会全体による費用の負担が行われることになった。確保された財源は、子ども子育て支援事業等(拠点事業)の充実のためなどに当てられる。

地方においては、地域子ども子育て支援事業に共通な仕組みを持たせるため、市町村が主体となりニーズを把握し、各地域にあった形で事業を計画し実施する。一方、政府は、推進体制を整備し内閣府に子ども・子育て会議を設置するなどの仕組みが作られた。

また、新しく地域子育て拠点事業とは別に、独立した事業として利用者支援事業が創設された。
さらには、2015年度から実施される子ども・子育て支援新制度に、新しく創設される幼保連携認定子ども園においては、地域子育て支援事業が、本来業務として義務化される見通しである。
これらの施策は、主に少子化対策として打ち出されたものであるが、本来、子育て支援は、少子化対策として語られるのではなく、子どもの育ちの視点から、社会の責務として語られるべきである。子どもをとりまく環境がバーチャルリアリィティ化(仮想現実化)していき、子どもがますます育ちにくくなっていく状況においては、なおさらのことである。最終的には、子育て支援の目的は、『子どもが健やかに育つこと』である。さらには、将来の家族や地域、社会を担う人たちを育てることである。

平成25年度は、子どもの育ちの視点から、新規事業として、山田眞理子氏を講師として迎え、『子どもの発達をとらえ直す』のテーマでスキルアップ研修を実施した。毎回、事前レポート提出で、年5回の研修というハードな内容であったが、講師・受講者とも意欲溢れる充実した内容の研修となった。

創設以来、当協議会の大きな牽引力となっている杉田峰康先生のカウンセリング研修においても、受講生の数は、今年で7000名(延べ人数)を超え、会員全体の資質の底上げに大きく貢献している。

3月1日には、東京において、子育て支援センターの全国的組織として『日本子ども・子育て支援センター連絡協議会』が新澤誠治氏を会長として発足した。全国の子育て支援センターと連携し、今後の活動が期待される。

当協議会は1998年に創設され、『子育て支援をテーマとした研修団体』として、一貫して子育て支援センター職員の資質の向上を目指して研修を行ってきた。運営においては、会員の方々のボランティア精神によって今日まで来ている。事業内容も、継続性のある研修をすることにより、『子育て支援の力が身につく』ことを目指している。さらには支援者同士のネットワークも形成され、大きな子育て支援のうねりとなることを期待される。

( 文責 小岱 紫明 )