- 【テーマ】
- 「子どもの発達をとらえ直す」
-よりよき子育て支援をめざして-- 【講師】
- 山田 眞理子 氏
子どもと保育研究所・ぷろほ 所長
九州大谷短期大学 名誉教授- 【日時・参加人数】
- 第一回 平成25年 6月 3日(月)午前10時~午後4時 40名
第二回 〃 7月 5日(金) 〃 38名
第三回 〃 8月 1日(木) 〃 36名
第四回 〃 10月 3日(木) 〃 38名
第五回 〃 11月25日(月) 〃 38名- 【会場】
- 熊本県民交流会館パレア
- 【研修の目的】
- 子育て支援を行うものに求められる資質の中でも、とりわけ子どもの発達を
理解する能力は大きな比重を占める。今まで保育者個人が保育経験での多くの
子どもとの出会いによって、主観的な視点でとらえてきた子どもの発達を、あ
らためて客観的にとらえ直すことにより、子どもへの理解をさらに深め、より
適切な援助技術を習得することを目的とする。
尚、参加人数を40名までとし、研修参加に伴い、事前レポート等を提出す
ることで研修の充実を図る。
3歳児の「ファンタジー能力の開花」について。「空想の中で遊ぶのが大好き、これを5歳でやるには無理がある。3歳でやるからこの遊びが盛り上がり、色々なねらいをもってくることができる!」という先生の言葉が今の3歳児の子ども達の姿にがっちりはまりました。そしてこれは必然的な姿なのだと深くうなずき、このキーワードを頭にいれて日々遊びを計画立てて関わっていこうと視野が広がったように思います。各年齢の発達についても分かりやすく各クラス担任も身を乗り出して復命を聞いた次第です。各年齢の発達を明確にとらえ、この年齢で何をし何を育てなくてはいけないのかがはっきりと見えた。
発達には様々なもつれが生じる。もつれを抱えた子どもの辛さに寄り添う感性をもった保育者が、子どもの側にいてくれたら・・
「もつれ」というのは、からみあっている状態で、改善するためにはほどかなくてはいけない。よく見て、緩めて、ほどきやすいところからほどくことが大切。
その問題を一番受けているのが子どもで、ぬけやすいところから取り組むほうがよい。気になる子どもが増えているが、発達指標をとらえ、気になる内容を明らかにしてレポートを書くことで、子ども達のことが分かってもらえる。保育士がレポート力をつけたら、子ども達の役に立つ。
子どもの発達をとらえる様々な発達検査と言語発達を促す遊びを日常の保育に活かすスモールステップを学ぶ。
スモールステップとは、その子がつまづいている発達課題に対して、好きな遊びや今できることを最初の段階として、次にできそうなことを考えていくもの。
子どもの育ちに悩みを持つ親に対しても、「こんなこともできない」ではなく、「こんなことができるね」「今度はこんなこともできるようになるといいね」とできることから、その次にできそうなステップを一緒に考えてみると、親への見方、接し方が変わってきて、それにより子どもが成長していけるのではないかと感じた。
保護者支援は、子育て支援ですか?子育ち支援ですか?
子育ては、子育てをしている親。子育ちは、子どもが育つための支援である。
保護者の支援が子どもの育ちには大切になってくるが、子どもが安心するための支援を心がける。そのためには、親が安心できるようにする。親が安心してい
れば子どもも安心する。保育者は、どんな時でも、受容的・共感的な態度で保護者の話、思いを十分に受け止めることが大切になってくる。保護者の話に相づちをうつことから始まり、
「アイノソナタ」 あいて(相手)のソ「そうねんですね」
ナ「なるほどね」
タ「たしかにね」
という言葉を使って相手の話に深くうなずきながら、肯定的に話を聞いていく。うなずきながら、対応していると、保護者は「保育者が自分の話を聞いてくれる」と感じる。保護者はアドバイスより話を聞いてほしい。保護者のほうから「どうしたらいいんでしょうね!」という言葉が出るのを待つ。そして「一緒に考えましょう」と答える。話を聞いてくれる人がいると親は安心できる。
保育者を困らせる子どもに出会った時、どうして?何で?と悩む事もあるが、子どもの気持ちに寄り添い、この子の背景にあるもの、心の声に気付いてあげる事の大切さを学び、改めて子ども、保護者を見る目に力を与えてもらった。
発達のもつれという表現も、はじめて耳にし、絡まっているものをほどいてあげる気持ちで関わると保育が変わると感じた。
幸せになるために生まれてきた子どもたちのため、保育の専門家として知識や技術をさらに研鑽していきたい。
5回連続研修の学びを習得した保育者からの報告である。毎回の事前レポートも刺激になり、学びの姿勢を作り上げていった。研修内容は、とても深いものがあり、短い文章にはまとめきれないほどの、学びがあった。子どもの発達からより具体的な保育のあり方。保育者としての資質。子どもの発達へのメディアの影響。“気になる子ども”のとらえ方や事例の書き方。専門的な発達検査の体験。その子どもに対しての保育のあり方、計画の立て方。子どもを真ん中に考えた子育ち支援を真剣に学び合った。そのような子どもの育ちを学ぶ意味には、これからの社会の中で育つ子どもに対して「“もどるべき家族”を今、作っておいてください。」とのことでした。多くの子育て支援センターの担当者が、子どもの育ち・愛着形成を課題にしていこう、保護者への寄り添いを考え直す研修となった。
また、毎回、研修会の中で、人の心理的な気づきを考え合えるワークショップを体験させてもらい、考えることも、見るところも違う、違って当たり前な人間観察も、笑いながらも考えさせられた。
文責:八幡 書代 (玉名子育てネットワーク)
古閑 絵里香(宇土市子育て支援センター「ひまわり」)
清田 緑 (山鹿子育て支援センター)
中村 史子 (熊本市総合子育て支援センター)
浜本 愛香 (八代市鏡子育て支援センター)
山本 美加 (八代市子育て支援センター)
宇佐美 純代(熊本子育てネット)