日 時 | 平成21年10月31日(土) 10時 〜 16時30分 |
会 場 | 養生伝承館 菊池市泗水町吉富3183 TEL0968(38)4175 |
テーマ | 午前:『いのち 愛おし』 |
講 師 | 午前・・・竹熊 宜孝 氏 (公立菊池養生園診療所 名誉園長) 午後・・・吉田 俊道 氏 (NPO大地といのちの会代表) |
対 象 | 熊本県地域子育て支援センター事業連絡協議会会員他 |
研修内容・日程 | 9:30 受付 10:00 開会 講義 (竹熊 宜孝 氏) 質疑応答 12:00 午前終了・昼食 13:30 開会 講義 (吉田 俊道 氏) 質疑応答 16:30 閉会・終了 |
以下に概要を示す。
竹熊先生は,まず,断食することによって食べることのありがたさが分かると,「飢えてこそ知る我が命」という言葉を用いて表現されました.それは,自分自身の体験から,飢えると生命力が上がり,命が見えてくるということです.
また,砂糖についての話もありました.砂糖の摂りすぎは体に悪く,砂糖の代わりに,水あめやみりん,酒を使うことで病気は減るということを話されました.
次に,食育は小さい頃に行われるべきであるという次のような話がありました.小さい頃に教わったことが,大人になってからの判断基準となりがちである。今,虫食いや曲がった野菜を避ける人が多い.それは,小さい頃に自然をみていなかったり,生きる知恵を伝承されていないためではないだろうか.また,それがさらに次の世代にも影響を及ぼす.そうならないためにも,幼児期における家庭及び保育園での食育は重要であると考えられる.
食育に関わる私たちにとって,今回の講話は非常に興味深い話であり,今後の活動に役立てたいと思います.
伝承館での昼食は、養生園の竹熊先生の「医・食・農」の教えが凝縮された食事です。伝承館の隣の畑より旬の野菜と厳選された調味料で作られます。甘味は砂糖でなく麦芽糖、みりんで、だしはかつお節から丁寧にとられていました。献立は調理を担当する地元の高齢者の方々です。煮物を中心とした旬を取り入れた献立を毎回楽しみながら考えるそうです。「調味は塩梅」だと調理をしながら手慣れた手つきで黙々と大きな鍋を駆使する姿からはとても 80代を含めた方々とは思えませんでした。調理人数は研修人数により異なりますが、時には 200食程作られるそうです。大きめに乱切りされたとうがんと豚肉の味噌汁は、こくがありあっさりした煮物のような1品でした。
会場のとある一画では、竹熊先生が高校生に「ニラのキムチ」が作れる親になれるようにと、作り方を熱心に伝授されていました。キムチつくりだけではなく、食べ物や調理の大切さを彼女たちは真剣に受け止めていたようです。
懐かしい味の昼食は、「食」は健康な身体を作る、守るだけではなく、「食」を伝承する重みを深く感じた
ひとときでした。
<献立> ひじき煮もの ぽてとさらだ ゆで卵 酢の物 煮物(さといも、あげ、にんじん) こんにゃくのとうがらし炒め煮 揚げ物 (なす、さつまいも) 粟入り分つき米 とうがんと豚肉の味噌汁 漬物・にらのキムチ |
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吉田俊道先生の研修では、まず幼児期における食育について学びました。幼児期の食習慣がその後の食生活につながるため、甘いものを食べる癖をつけない、偏食しないようにするなどの基本を身につけないと、大人になって食生活を変えようとしても大変な思いをすることになります。
次に、土いじり等の農業体験をさせることは、単に野菜の成長過程を学習するだけでなく、食べ物の有難さ、命を頂くという意味、命の尊さを学ぶことが出来る貴重な体験であることがわかりました。
また、日頃の私たちの食生活に関しても、問題を投げかけて頂きました。野菜の皮や芯の部分を調理時に捨ててしまいがちですが、実はそれらこそが他の部位にはない素晴らしい栄養素を持っているので、捨てずに食べようというお話しはとても新鮮でした。
また野菜の食べ方についても、旬を大事にし、食べ方に気をつけないといけないというお話しは、ただ単に野菜をたくさん食べたら病気になりにくいという考えは思い込みであったと思いました。
将来は食に携わる仕事をしたいと思っている私たちにとって、栄養素や衛生管理の勉強も大事ですが、食の根本を教えて頂いた気がしました。